――流行と聞けば、何でも、すぐに飛びついてしまう。
神田御茶ノ水の妹である、日暮里の奇行のひとつである。
今日も今日とて、スマートフォンを買ってきた日暮里。
友達の間で流行の、とあるアプリがやりたいらしい。
それは、エイリアンを育てるシミュレーション系のアプリ。
……だった、はずが、日暮里はスマホに吸い込まれてしまう。
妹の機械音痴はついにスマホに吸い込まれるまでになったかと
妙に感心した御茶ノ水は、何の疑問も抱かず、眠った。
――その日、その夜、御茶ノ水の夢の中での光景は、
イカ型エイリアンの触手にもてあそばれる日暮里の姿だった。
「モルモル。妹アプリケーションという、これこそが。モルモル」
イカが、喋った。
イカのくせに生意気だ、と御茶ノ水は思った。